外注費は「送った数」で払い、「納品数」で割る

公開 2026/9/20 ・ 小次郎 ・ 見積もり・原価 ・ およそ6分で読めます

製造原価計算で、自分の数字でそのまま計算できます(登録は要りません)。

外注費は、見積もりの中でいちばん迷わない項目に見えます。熱処理にしても表面処理にしても、外注先から見積もりが来ているなら、その金額を入れるだけだからです。自分で時間を測る必要も、チャージを決める必要もありません。

ただ、その金額を1個あたりの原価に直すところで、静かにずれます。

外注費が何なのか、見積もりのどこに入るのかは 金属加工の見積もりの出し方 にまとめてあります。ここでは、その先の1個あたりに直す部分だけを扱います。

払う数と、割る数は違う

例として、納品100個の部品を考えます。不良の見込みを3個とすると、作るのは103個です。熱処理より前の工程で落ちなければ、この103個を熱処理に出します。単価は180円/個とします。

外注先への支払い = 180円 × 103個 = 18,540円

⚠ 103個ぶん請求されます。 外注先から見れば、処理したのは103個だからです。100個ぶんにはなりません。

一方で、お客さんに請求できるのは100個ぶんです。3個は納品されません。

納品1個あたりの外注費 = 18,540円 ÷ 100個 = 185.4円

外注先の見積もり単価をそのまま原価表に写すと、この差が落ちます。 1個あたり5.4円、ロット全体で540円です。金額としては小さく見えますが、不良の見込みを大きく取る部品ほど広がります。

これは外注費に限った話ではなく、材料費も工具費も同じ形をしています。⭕ 製造原価計算ツールは、不良の見込みを入れるとこの割り戻しを自動でやります。 外注の欄に入れるのは、外注先の見積もり単価そのままで構いません。

定額か、1個単価か

外注の請求のされ方は、大きく2つに分かれます。この2つは、不良が出たときの動き方が逆になります。

例不良が増えると
1個単価熱処理180円/個、めっき120円/個⚠ 総額が増える(送った数ぶん請求される)
定額1ロットいくらの最低料金、炉1回いくら⭕ 総額は変わらない(同じ炉に入れば同じ)

同じ「外注費」でも、性質が違います。 1個単価は材料費に近く、定額は段取り費に近い動きをします。

1個単価   投入数が増えれば、そのぶん増える
定額      投入数が変わっても動かない。⚠ ロットが小さいほど1個あたりが重い

定額のほうは、ロットが小さいときに効いてきます。 熱処理の最低料金が15,000円だとすると、100個なら150円/個ですが、10個なら1,500円/個です。部品の加工費より外注費のほうが高い、ということが起きます。

→ 小ロットで単価が上がる仕組みは 小ロットだと単価が上がる理由 にまとめています。

⚠ 「1個単価だと思っていたら最低料金があった」は、見積もりの後で分かることがあります。 単価だけでなく、最低料金の有無を先に聞いておくと、後から差し替えずに済みます。

製造原価計算の外注欄では、かかり方を「1個ごと」か「ロットに1回」から選べます。1個ごとなら送った数(納品数+不良の見込み)で掛かり、ロットに1回なら数量が変わっても動きません。上の最低料金のような費用は、ロットに1回で入れます。

送料を、どこに入れるか

⚠ 先に、2種類の運賃を分けます。 見積もりの中で運賃という言葉は2回出てきますが、別のものです。

どの便か入る場所
納品運賃自社 → お客さん⚠ 原価の外(提示額に乗せる)
外注への便⭕ 自社 → 外注先 → 自社⭕ 原価の中(この記事で扱うのはこちら)

納品運賃のほうは 提示額 = 原価 + 運賃・梱包費 + 販管費 + 利益 の運賃です。→ 金属加工の見積もりの出し方

ここから先は、外注に出すための便の話です。 外注に出すと、品物が動きます。 行きと帰りで2回です。

送り  1,500円   +   返し  1,500円   =   3,000円/ロット

これは完全に定額です。100個送っても10個送っても、便は1回です。

納品数送料の1個あたり
100個30円
10個300円

⚠ 入れ忘れやすい項目です。 運送会社への支払いは月末にまとめて来るので、その部品の原価と結びつきません。

入れる場所は2つ考えられます。

入れ方向いている場面
外注費に足す(熱処理の最低料金15,000円+送料3,000円=定額18,000円として扱う)⭕ その外注のために出した便がはっきりしている
販管費として全体に乗せる⚠ 便を他の部品と相乗りさせている(どの部品のぶんか分けられない)

どちらが正しいということはありません。 ⚠ ただし、両方に入れる/両方から落とすのだけは避けたいところです。見積もりから抜けやすい費用 に、落ちやすい項目をまとめてあります。

材料を支給されているとき

外注に出すときだけでなく、自社が外注先の立場になっているときにも同じ問題があります。お客さんから材料が支給される場合です。

支給には2つあり、材料費の扱いが変わります。

材料の代金原価に材料費を
無償支給払わない(預かる)⚠ 入れない
有償支給いったん買う(買戻条件付きが多い)⭕ 入れる

無償支給の材料費を原価に入れると、払っていないお金を計上することになります。 提示額がそのぶん高くなり、⚠ 相見積もりで理由なく負けます。

逆に、有償支給を「支給だから」と外してしまうと、材料代を自社で被ることになります。

⚠ 無償支給でも、材料費がゼロという意味ではありません。 保管の場所も、数え直す手間も、不良を出したときに材料を弁償するかどうかも残ります。材料費の欄には入れないが、条件は確認するという形になります。

外注先で落ちたぶんを、誰が持つか

103個送って、100個しか返ってこないことがあります。 熱処理で割れた、めっきではじかれた、といった場合です。

このとき、その3個の費用を誰が負担するのかは、加工の話ではなく取り決めの話です。

外注先が持つ      再処理・作り直しの費用を外注先が負担する
自社が持つ        自社の不良見込みの中に含めておく
材料代だけ自社     処理代は外注先、素材代は自社

⚠ どれが普通ということはありません。 会社どうしの取引条件によります。ここで断定すると、実際の取り決めと食い違います。

見積もりを作る側としてできるのは、「どうなっているか分からない」まま数字を置かないことです。

取り決めがある      その条件どおりに不良の見込みを置く
取り決めが無い      ⚠ 自社が持つ前提で見込む(後から請求するのは難しい)

なお、発注側が一方的に不良の費用を押し付けることは、下請法で制限されている場合があります。 → 手直しと返品の費用

まとめ

払う数投入数(納品数 + 不良の見込み)
割る数⚠ 納品数(送った数ではない)
1個単価の外注投入数ぶん増える。材料費に近い
定額の外注⭕ 不良が増えても総額は変わらない。ロットが小さいほど重い
送料行き帰りで2回。完全に定額
支給材無償なら材料費に入れない。⚠ 有償なら入れる
外注先での不良取り決め次第。⚠ 断定せず、条件を確認する

⭕ 製造原価計算ツールの外注の欄は、この形で作ってあります。 「1個あたり」か「1ロット定額」かを選んで、外注先の見積もり額をそのまま入れれば、投入数と納品数の割り戻しは自動で行われます。

⚠ 送料と支給材の扱いだけは、判断が要ります。 送料は外注費の定額に足すか販管費に回すか、支給材は有償か無償かを確かめてから入れてください。

最終更新 2026/9/25

小次郎 切削工具・測定工具の販売(卸売)と、 NC旋盤・マシニングセンタでの加工。両方の実務経験があります。 運営者情報