理論粗さ計算ツール

旋削の面粗度を、送りと刃先Rから出します。

送りから粗さを出す

刃先Rは 0.2/0.4/0.8/1.2/1.6 あたりがよく使われます。 切削速度と材質は、この式には入りません。

粗さから送りを逆算する

理論値は下限で、実際は悪い側にしか外れません。 指示値をそのまま狙うと測定で落ちるので、余裕を見込んでおきます。 余裕30%なら、理論値が指示値の7割になる送りを出します。

旋削で、刃先が円弧の場合の式です。フライスや、刃先が平らな工具(ワイパー)には当てはまりません。 考え方は下の解説に書いています。

理論粗さ
1.60 µm Ra

Rz 6.25 µm / 送り 0.2 mm/rev ・ 刃先R 0.8 mm
Rz ÷ Ra = 3.90(理論上は常にこの値)

この粗さを狙うなら

Ra 1.6 µm・刃先R 0.8 mm・余裕 30% なら
送り 0.167 mm/rev

条件を変えると

変えるもの粗さ
送りを 1割 落とす 0.81 倍(良くなる)
送りを 半分 にする 0.25 倍(良くなる)
送りを 1割 上げる 1.21 倍
刃先Rを 0.8 → 1.2 0.67 倍(良くなる)
刃先Rを 0.8 → 1.6 0.50 倍(良くなる)
刃先Rを 0.8 → 0.4 2.00 倍

送りは2乗、刃先Rは1乗で効きます。面を良くしたいなら送りの方が効きます。

計算式

Rz = f² / (8R)

Ra = f² / (18√3・R)      18√3 ≒ 31.18

  f 送り(mm/rev)    R 刃先R(mm)

刃先の円弧が、送りのぶんだけずれて並ぶ形です。 その山と谷の差が Rz、平均が Ra になります。 切削速度も材質も、式には入りません。

Rz ÷ Ra は、理論上いつでも 3.90

式を割ると 18√3 ÷ 8 = 3.90 です。送りにも刃先Rにも依りません。 「Ra は Rz の4分の1くらい」と言われるのは、ここから来ています。

⚠ ただし、実際に削った面をこの比で換算してはいけません。 実際の面は円弧が並んだ形ではなく、びびりの痕やむしれが混ざります。 Ra は平均、Rz は山と谷の差なので、傷が1本あるだけで Rz だけが跳ね上がります。

図面が Ra 指示なら Ra で、Rz 指示なら Rz で測るのが確実です。

理論値は「下限」

実際の面は、理論値より悪い側にしか外れません。 工具やワークのたわみ、びびり、構成刃先、工具の摩耗が乗るためです。

ですから指示値をそのまま理論値に当てると、測定で落ちます。 このツールの逆算に「余裕」を入れているのはそのためです。 どれだけ見るかは、機械とワークの剛性、材質、工具の状態で変わります。

たわみが疑わしいときは、突き出しと工具径を見直す方が早いことがあります。 → 工具のたわみ計算

刃先Rを上げれば良くなる、とは限らない

式の上では、刃先Rを大きくすれば粗さは良くなります。 ただし刃先Rを大きくすると、ワークを押す向きの力(背分力)が増えます。

細長いワークや、突き出しの長い工具では、その分だけ逃げます。 剛性が足りていないと、刃先Rを上げた方が面が悪くなることがあります。

送りを落とすと、原価が上がる

送りを半分にすると、加工時間はおよそ2倍になります。 図面に書かれた面粗度は、そのまま加工時間の指示であり、金額の指示でもあります。

1個あたりでいくら動くかは製造コスト計算で 2通り計算して並べられます。送り速度そのものの計算は 切削条件計算で出せます。

※ 旋削で刃先が円弧の場合の理論値です。フライス加工、刃先が平らな工具(ワイパー)、 研削には当てはまりません。実際の面はここから悪い側に外れます。 条件を決めるときは実際に削って測定してください。